Residence 中央林間

ニーズを見極めた設計で空室ゼロの人気賃貸に

オーナーの信頼を受け、設計事務所と地元不動産業者のタッグで細やかな設計。
家賃下落のない賃貸物件を実現しています。

建築実績の信頼感とニーズにあった緻密なプラン

―フルキスペースデザインに決めたきっかけは？

Tさま（以下T）：自宅の設計をしていただいたので信頼感があったのと、懇意にしている地元不動産業者さんが、賃貸マンションの参考に良いと言った物件が偶然にもフルキスペースデザインさんが賞をとったものだったんです。
立地は駅から2分くらいだけれど、変形地だったので、設計力があるところがいいと思いお願いしました。
そして、不動産業者さんは周辺事情や相場に詳しいので、一緒に企画に入ってもらいました。

古木（以下FSD）：賃貸は事業のための物件ですから、地元の情報をキャッチしている不動産業者と連携し、細やかなニーズの分析をもとに建てたほうが私もいいと思いますね。

―この周辺のニーズについて

T：単身赴任や独身者も多く、住空間に対しても比較的、意識が高いみたいですね。

FSD：したがって、普通の賃貸よりグレードを高めにスタイリッシュにしました。広い1LDKが周辺にないので、60㎡以上の1LDKもとりいれています。
変形地というリスクを逆手に、全て角部屋で独立型プランになっていて、隣室が気にならないんですね。

T：採光もいいですよ。

変形地を活かし全戸角部屋

50～65㎡の広めの1LDK

入居者には住み心地、オーナーにはメンテナンス面を配慮

―内装や外観デザインについてのリクエストは？

T：空き室にならないことだけが希望で、全てお任せしました。

FSD：大枠のプランはこちらで決めて、例えば、コンセントの位置や間取りの使い勝手など基本的なところは不動産業者さんが掴んでいるニーズを深く詰めて設計しました。
特に希望が強かった上下階の音問題を回避するのに、床は通常の約1.5倍の厚さにしています。
空間は、高めの天井や開口部でゆとりを持たせました。

T：お風呂も大きめなんですよ。

FSD：そういう面でも、家がくつろぐ場になりますよね。

―メンテナンス部分について特徴は？

FSD：メンテナンスは収支に影響するので、長持ちさせることが大事です。外壁は撥水剤を施した打放しコンクリートにし、屋根にも水切り用の羽をつけたり、庇(ひさし)で壁に汚れが流れにくくしています。

T：外壁がタイルじゃないのが扱いやすくてよかったですね。

FSD：状況にもよりますが、15～20年経ったらまた撥水剤をかけるくらいでいいと思いますよ。
それから室外機や給湯器も出来る限り、雨や陽で劣化を早めないように配慮しています。ごみ置き場も建物と同じ鉄筋コンクリート造にして、美観を損ねないようなデザインも心がけました。

T：落葉樹によって四季の変化が楽しめて、建物全体が無機質にならないのもよかったです。落ち葉は少し面倒ですが、強風の翌日やごみの日などは清掃を自分たちでやっています。入居者の方の様子も見えてきますしね。

造り付け家具でモダンに

中庭が心のゆとりを生み出す

奥行き感と開放感を兼ね備えた共有廊下

優れた設計が「家賃下落・空き室なし」を維持

―10年経って家賃や空室状況はいかがですか？

T：竣工前に担当の不動産業者独自のインターネットだけで募集してすぐ埋まりました。それから今までずっと空き室がないですね。この周辺は、家賃相場は下がっていますが、うちは家賃を下げたことがないんです。強気(笑)。
それでも、入れ替わりの入居者がすぐ決まるんですよ。利便性もありますが、この周辺にない設計だからだと思いますね。
マンション入り口から自室まで中庭を抜けるようになっていて全体的にゆとりがあるデザインも他にないですし。

FSD：西向きや1階という不利な条件を感じさせない空間設計の魅力があるにも関わらず、業者さん視点の単純な算出で安い家賃設定をした部屋があって、もったいないと思ったことがありましたね。

T：その部屋は入居者が出てから家賃を上げました。すぐに次の借り手がいたから、やっぱり設計が良いということは重要なポイントですね。

―最後に一言お願いします。

T：賃貸事業として成り立つかだけが心配でしたが、設計事務所と地元の不動産業者とのタッグが成功の理由だと思いますね。